乳がん|14kg増で下着まで全部買い替えた。体重計の数字が怖くなった

私は昔から、数字を見ることが好きでした。
自分の身体に関しても。
体重、体脂肪、食事の記録。

数字は、自分の身体や暮らしの変化を知るための手がかりでした。

「今日は少し増えたな」
「最近はこういう傾向なんだな」

そんなふうに、数字を見ながら自分の状態を確認することが、私にとっては暮らしを整えるひとつの方法でした。

でも、乳がん治療の途中から、その数字を見ることが怖くなっていきました。

48kgだった身体が、62kgになった

乳がんの手術で右胸と右脇リンパ節を全摘し、放射線治療も終わった頃。
治療はひと区切りついたように見えていました。

でも、身体はまだ大きな変化の途中でした。

全摘から半年弱くらいの頃、私は日々むくみに悩まされていました。

朝起きた時の身体の重さ。
いつもと違う感覚。
今までとは違う、自分の身体。

そして、その変化は体重という数字にも表れてきました。
48kgくらいだった体重は、気づけば62kgに。

14kg増。

短期間で。

「妊婦かよ!」

思わず自分で突っ込みたくなるくらいの変化でした。

今まで履いていた下着のパンツまで合わなくなり、全部買い替えました。
服だけではなく、身体に直接触れるものまで変えなければならない。

それは、ただ「太った」という言葉では片づけられない変化でした。

さらに、太ももやふくらはぎには、急激な体型変化による肉割れ(ストレッチマーク)までできました。
自分の身体に、今まで見たことのない変化が起きている。

まさに「妊婦かよ!」と思ったのは、冗談ではなく、それくらい身体の変化が大きかったからです。

鏡を見るたびに嫌気が差し、人に会うことさえ億劫になりました。

食べていないのに増える、という経験

振り返ると、体重が増えた経験はこれが初めてではありませんでした。

30代前半で入院した時のことです。
食事はほとんど摂れず、日々点滴だけで過ごしていました。

それなのに、退院する時には入院前より5kgほど体重が増えていました。

「食べていないのに、なぜ?」

と不思議に思った記憶があります。

でも、その時は若さもあったのか、時間が経つと身体は自然に戻っていきました。
だから今回も、いつか戻るだろうと思っていました。

でも、乳がん治療後の身体は、それまで知っていた自分の身体とは少し違っていました。

「空気を吸っても太る」と感じる気持ち

当時、よく読んでいたのが、NPO法人 健康と病いの語り ディペックス・ジャパンの乳がん体験者の語りでした。

その中に、ホルモン療法中の体重増加について語られている方の話がありました。

「空気を吸っても太るかと思うくらい」

そんな表現を見た時、少し救われました。

自分だけが、この身体の変化に戸惑っているわけではない。
治療中の身体には、自分の努力だけでは説明できない変化が起こることがある。

そう思えたからです。

乳腺科では、もちろん一番大切なのはがんの治療です。

私も、命を守るための治療を受けていることは十分に分かっていました。
ただ、体重増加やむくみについて不安になり、診察の時に相談したこともあります。

その時は「様子を見ましょう」「大丈夫ですよ」というような対応で、深刻な問題として扱われることはありませんでした。

もちろん、がんの治療そのものと比べれば、小さな問題に見えるのかもしれません。

でも、治療が終わったあとも、患者の生活は続いていきます。

体重の変化。
むくみ。
見た目の変化。
今まで着ていたものが合わなくなること。

それらもまた、病気のあとを生きていく中での大きな出来事でした。

身体は少しずつ変わっていった

62kgになった時は、このまま戻らないのではないかと思いました。
ジムに通ったり、食事を工夫したりしても、全く手応えがありません。

頑張っているのに数字が動かない。
数字を見ることが好きだった私にとって、それは初めて経験する無力感でした。

でも、術後5年経過くらいから、身体はようやく少しずつ変わっていきました。

今は52kgまで戻りました。
治療前とまったく同じ身体ではありません。

それでも、変化した身体と一緒に暮らしながら、また自分のペースを取り戻していくことはできる。

あの頃、怖かった体重計の数字も、今では自分の身体を知るためのひとつの目安になっています。

数字は、時に怖い顔をして現れます。
今でも、現状の体重や筋肉量など、身体の状態に納得しているわけではありません。

治療が終わったあとも、自分の身体との付き合いは続いていく。
長丁場なんだな、と今は思います。

乳がん治療の経過をまとめています。

2026-07-29|タグ: , , ,
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