乳がん全摘で、服がへんちくりんになる話
右胸のインプラントを抜いている今、ブラジャーには少し困っている。
抜く前も困っていた。
本来の私は、イギリスのunobraという、片側用のものを使いたい。
左右非対称でいいの。
サポート力がありそうだから。
整えることが、とても必要な私。
まだ日本への国際配送には対応していない。
なので待っているところ。
日本でようやく、片胸用のブラジャーが発売された。
発売前に予約し、購入した。
が、優しさに特化したもので、生地がふんわり肌の上にあるというものだった。
不満足だった。
マネキンのかっちりしたボディに身につけてある写真では、参考にならないよね。
乳がん術後用のものを使っていたこともある。
専門の店員さんのもと、フィッティングした。
が、使っていて大きな感激はなかった。
最近、フェリシモのフラットブラに落ち着いたはずだった。
着物を着るときにも、いい感じのもの。
胸を押さえるタイプなので、健側のボリュームを欠側に合わせることができる。
身体にはとても素直で、今の私にはこれが一番しっくりくる。
しかし、困る。
服を着るときのシルエットである。
胸の出っ張りがなくなると、胸から下へ落ちるはずの服が、そのままお腹まで落ちてくる。
お腹だけ、ポコンと目立つ。
乳がんの治療中、体重14kg増で下着まで全部買い替えたに書いたように、闘病中に脂肪が激増。
減ってはいるけれど、元には戻らないままだ。
今の仕事では、当たり障りのない、いわば面白みのないブラウスを着て座っていることがある。
椅子の具合もあって前屈みになりやすく、服が身体に引っ張られる。
すると、なんだか身体の形がへんちくりんに見える。
別に、胸が欲しいわけではない。
大きくしたいわけでも、谷間を作りたいわけでもない。
メリハリ。
横幅はコンパクトに。
ただ、胸のところに一度「凸」があって、そこから服が落ちてほしいのだ。
服好きとしては、ものすごく筋が通ってる。
胸という立体物を置く。
そういう前提で、婦人服は設計されているから。
洋服のシルエットというのは、和装とは違って、立体でできている。
乳がん後、インプラントを抜いて半年後に働き始めた百貨店ブランドでは、もともと好きだったメーカーのブラジャーを着用していた。
欠側を補正せず。
実は片方のカップは、パカパカしていた。
シリコンだったり、ふわふわのパッドを買ってはみたものの、どうもしっくりこなくて使わずにいた。
服を売る仕事なので、これまで以上に服のラインを気にしていたけれど、それで特に困らなかった。
欠側には、脂肪がないので、動くとズレていく。
たまに死角っぽいところで、サッと直す。

困らなかったのは、なぜだろう。
今の仕事になって、ようやくわかった気がする。
あの頃のデザイン性の高い服は、身体をうまく編集してくれていたのだ。
柄があったり、色があったり、襟やギャザーがあったり、布そのものに動きがあったりする。
一日中立っていたことも大きい。
服は身体から少し離れて、そのまま裾へ落ちていく。
胸の左右差があっても、そこだけが妙に目立つことはなかった。

今は違う。
つまらないブラウスを着て、座って、椅子の影響で姿勢が悪い。
胸に凸がなく、次に布が当たるのはお腹なのだ。
これはまいった。
改めて、持っているパッドや下着を組み合わせて、現状におけるベストコーデを見つけた。
巨乳を作りたいわけではない。
左右を完全に同じにしたいわけでもない。
ただ、服が胸のところで一度前に出て、そこからお腹へ落ちてくれればいい。
どうやら私が欲しかったのは、胸ではなく、服のための凹凸だったらしい。
まじで。
だから、イギリスのunobraのように、片側だけをきっちりサポートしてくれるブラジャーなら、もう片側が平面でも構わない。
身体と服の関係を成立させるための構造なのだ。
最新の小室哲哉さんを見て得た、ビジネスにも応用できるドレスモードとして、大きなボウタイやリボンのついたブラウスも取り入れたら、このストレスはかなり解消されそうだ。
以前書いた美学は、服装が自由である日々だからこその話なんだな、と思った。
まず、そのとびきり気に入った服を着ることがないんだもん。
情報提供のみを目的としています。
医学的なアドバイスや診断については、専門家にご相談ください。

















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