乳がんの全摘手術の日のことは、ほとんど覚えていません。
右乳房全摘術と右腋窩リンパ節郭清を受けたことのみ、わかっています。
入院した前日のことなら、少し覚えています。
娘の蔵書である、位置原光Zの「お尻触る人なんなの」を持参して読んでいました。
私は、こういう作品がものすごく好きです。
ほんのり漂うエロスも、線も、間も、世界の見え方も。
「こういうの、こういうふうに、こんな線で表現するなんて、ズ・ル・イ」と、ほんのり嫉妬するような気持ちでニヤニヤ読んでいました。
そして手術の日。
どのくらい時間がかかったのか、よく覚えていません。
母が病院で待っていてくれて、術後、取り除いたものを見せられたそうです。
母は、正視できなかったと言っていました。
手術時間は長かったそうです。
それを聞いた私は、「ちゃんと見ておいて、本人に説明してよ!」と、少しイラッとしました。
自分の身体から取り除かれたものなのだから、せめて私は、それがどういうものだったのか知っておきたかったのです。
術後は、ずっと朦朧としていました。
がんを取ったエピソードなのに、いちばん鮮明なのが位置原光Zって!
2018年12月、そんな手術入院でした。








