東京で、金色のモンキーに乗っていた

ほんの短い期間だけ、モンキーに乗っていた。

ゴールドメッキ仕様の「ホンダモンキー・リミテッド」。
通称ゴールド・モンキー。

ゴールドメッキ仕様の「ホンダモンキー・リミテッド」

今見ると、なかなか派手だ。

東京に住んでいた頃のこと。
東京は電車が便利だ。
どこへでも行けるし、すぐに次の電車が来る。

でも、住んでみると「そこ、直線なら近いのに」という場所が結構ある。

足立区にいた頃、私はとても不満だった。
例えば中野へ行こうとすると、それをよく感じた。
道路なら環七をずっと行けばいい。
地図で見ても、そっちでしょう、と思う。
私が行きたい場所へ行くには、どうにも不便だった。

電車では、いったん都心へ出てから向かうことになる。

しかも、JRから私鉄へ乗り継いだり、地下鉄を挟んだりすると、距離のわりに運賃もかさむ。

東京の鉄道網は巨大な蜘蛛の巣みたいなのに、蜘蛛の巣には「そこ横に一本つないでくれ」という場所がある。

そんなとき、モンキーはとても楽だった。

環七を走ればいい。

原宿にも行った。

新宿にも行った。

大きなバイクでツーリングを楽しむ、という感じではない。
街までトコトコ走っていって、店の前にちょいと停めて、買い物をする。

私にとっては、乗り物というより東京を自分の縮尺に戻してくれる道具だったのかもしれない。

電車に乗れば、路線図に従って移動する。
モンキーなら、自分で線を引ける。

今になって写真を見ると、それが面白い。

移動の自由を手に入れるにしても、ずいぶんキラキラした自由を選んだものだ。

「車好き」「鉄道好き」「バイク好き」と個別に分類すると微妙に違う。
たぶん昔から好きなのは、移動すること。
知らなかった道が、自分の地図に加わっていくこと。

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