30代前半、仕事の「瞬発力」のすべてをPC画面に叩きつけていた西新宿のビルの中。
私の視力は、1.5から一気に坂道を転げ落ちていきました。
それから、クラシックなメガネを作ってみたり、コンタクトのサブスクに挑戦しては8割を余らせてフェードアウトしたり。
結局、「あー、もう全部面倒くさい!」と行き着いたのは、車の運転時だけメガネをかける「基本、裸眼」というスタイル。
そこに数年前から、大人の通過点である「老眼」が、そっと足音を忍ばせてやってきました。
ここで、ある奇妙な現象が起こります。
たまの気まぐれで、コンタクトレンズを入れる。
遠くの景色がバチッと見えてクリアすぎるくらいの中、書類やスマホの画面が……絶望的にボヤけて何も読めない。
なんとなく用意しておいた老眼鏡をかけて、ようやく見えます。
コンタクトを外し、いつもの「裸眼」に戻った瞬間、さっきまで粘土みたいにぐにゃぐにゃだった文字が、すんなりクッキリ読める。
近眼の裸眼って、天然の老眼鏡みたいなものなんだね。
「すべてが面倒だから裸眼」
自分の目が持っている一番楽な生存戦略なのかも。
そんな私が、いくつかの別れを経て、今も手元に残しているメガネ数点。
我が家の精鋭たちです。

日本の職人技が光る渋い「掌(tana gokoro)」のセルロイド。
これは2009年に買った、初めてのメガネです。
一瞬で空気を変える「alain mikli」の鮮烈な赤。
チャーミングな「JINS」のラウンド。
大人のエレガンスが漂う「CHANEL」。
度なしサングラスでしたが、私の度数に合わせたレンズを染め直したもの。
そして、北欧生まれのポップな「Have A Look」。
老眼鏡です。
裸眼派といいつつ、最後は、メガネ紹介になってしまいました。
ツイッギーの映画を勧めてくれた友人が、昨年、遠近両用コンタクトも使っていていいと話していました。
今頃、視野に入ってきました。






