乳房全摘手術から数日後、ドレーンから出る液がほとんどなくなり、管を抜いてもらった。
シャワーを浴びられるようになった。
乳房を失ったことへの喪失感が、ほとんどなかった。
それよりも、
「ああ、大仕事が終わった」
という感じだった。
治療の一つの山を、とりあえず越えた。
そんな感覚のほうが近かったと思う。
入院中は、他の患者さんたちと一緒に、術後下着や退院後の生活についてのレクチャーも受けた。
出産のときもそうだったけれど、病院からの手厚いサポートではあるものの、ニコニコしつつ、どこか上の空だった。
退院の日は、病院から熊本市電の電停まで10分ほど歩いた。
そして市電に乗って、家へ帰った。
術後1ヶ月の頃に描いた自画像が、19歳の頃、ロンドンで描いたものとタッチが似ているなと思って、当時並べて写真を撮っていた。
手術から8年後の今、振り返ってみると、身体は大きく変わったのに、絵を描いている人間は、19歳の頃からあまり変わっていないのかもしれないと思う。









