結局、立花ハジメ的な「お茶目」が一番最強なんじゃないか説。
1991年、秋。
インターネットのない時代の情報は、いつも誰かの口から、あるいは直感からやってきました。
音楽を「掘って」いた高校時代
高校時代、音楽好きの友人たちとの情報交換は、何よりの刺激。
そんな中で名前が挙がっていたのが立花ハジメ。

実は聴いたことがなかったけれど、「みんなが言うなら間違いない」という直感と、ジャケ買いの衝動で手にしたのが高校3年生の秋でした。
『BAMBI』が奏でる、心地よいニューウェーブ
CDを再生して流れてきたのは、削ぎ落とされたシンプルなトラック。
タイトル曲「BAMBI」の、何度繰り返しても飽きない浮遊感。
「TAMIL MUSIC」での桐島かれんさんの”love, I love you…”という、さざ波のようなウィスパーボイス。
背伸びしていた18歳の耳に、その洗練された音はスッと馴染んでいきました。
しかもCMのあの曲だった
ちなみに、私は宮沢りえさんと同い年。
当時の彼女といえば、飛ぶ鳥を落とす勢いの、眩しいほどチャーミングな存在でした。
また、その頃はアンプやプレーヤーを組み合わせた「コンポ」が、音楽好きの女子高生には必須アイテム。
今でいうEarPodsくらい、日常に音楽を引き寄せるための大切な相棒でした。
そんなコンポのCMに宮沢りえさんが出演していて、お茶の間に流れていたのが、まさにこの「BAMBI」でした。
「あ、あの曲じゃん!」
TVの向こう側のキラキラした世界と自分の部屋のコンポから流れる音が重なった瞬間。
おしゃれなだけじゃない、立花ハジメさんの「お茶目」でいて確信犯的な音色に、私はいつの間にか夢中になっていたのです。
スティーブン・マイゼルとの出会い
何より衝撃だったのは、アルバムのヴィジュアル。

撮影はスティーブン・マイゼル。あの独特のコントラスト、光と影の濃淡……。

スペシャルサンクスに並ぶピエール&ジルや矢野顕子という名前にも、当時の東京の最先端カルチャーが凝縮されていました。
「ハジメちゃん、何その丈、つんつるてんでしょ」 「グッチだよ〜」
『笑っていいとも』に出演したハジメさんの、あの「ふにゃふにゃ」とした佇まい。
このアルバムのまんまの姿でテレフォンショッキングに出演していたのを、たまたま観ることができたのです。

タモリさんとのやり取りを鮮明に覚えているのは、それだけ彼の個性が強烈だったからかもしれません。
「写真は自分へのご褒美にマイゼルに撮ってもらった」と笑っていた姿が、今も目に浮かびます。
ロンドン、マドンナ、そして写真学科へ
翌年、私はロンドンへ。
そこでもスティーブン・マイゼルの仕事(エイズ撲滅キャンペーンのポストカードや、マドンナの写真集『SEX』など)が、ごく自然に生活に入ってきました。

帰国後、気づけば私は大学の写真学科の門を叩いていました。
卒業はしなかったし、Photoshopがサブスクになってからはカメラからも少し距離を置いてしまったけれど。
あの時『Bambi』のジャケットに惹かれた衝動が、私の視点のベースを作ってくれたのは間違いありません。
空っぽのCDケース
先日、ふと脳内で「Bambi」のメロディが流れ、懐かしくなってCD棚を探してみました。
ようやく見つけ出したケースを開けると、中身は空っぽ。

思わず笑ってしまったけれど、中身(ディスク)はなくても、あの時の高揚感やロンドンの風の匂いは、今も私の中にちゃんと残っているようです。
35年も前の記憶が、2026年の今、ブログという形で新しいアウトプットになる。
まさに「掘り出した」記憶の整理でした。










