この記事は、阿部暁子さんの小説『カフネ』を読み終えたあとの感想です。
作品の核心に触れる内容を含みますので、未読の方はご注意ください。
中盤、春彦の過去が見えてきたあたりから、一気にページをめくる手が止まらなくなりました。
それまで何気なく読んでいた会話や食事の場面が、まるで伏線だったかのように違う表情を見せ始めて…。
最初から、せつなにはとても惹かれましたし、薫子も他人のようではない感じもして、人物がイキイキと動いているのにも驚きました。
だからこそ、物語が進むにつれ、登場人物たちと一緒に成長というか、振り返りというか、心に突き刺さるものがありました。
これを貸してくださったT部長の気持ちがなんとなく勝手にわかった気にもなっています。
上手く言葉にはできませんが。
実は私も乳がんを経験し、今も定期的に通院しています。
普段は自分から話すことはほとんどありません。
だからこそ、この物語に描かれる喪失や、その後も続いていく日々の営みには、どこか他人事とは思えないものがありました。
もちろん、T部長はそんな事情をご存知ないまま貸してくださったわけですが、その偶然にも驚いています。

悲しいことや、やりきれないことにこれから先ぶつかったとしても、そんな時こそ温かいものや、おいしいものを食べて乗り越えていきたいと思います。
素敵な一冊をありがとうございました。
ここでも『カフネ』について、少し触れています。






