アパレルの仕事で、いちばん意外だったこと
百貨店ブランドの服を販売していたときのこと。
1番驚いたことが、手荒れだった。

美容師になりたての人がシャンプーで荒れるように、手荒れの原因として思い浮かぶのは、水仕事だった。
まさか「服を触ること」が、ここまで手に来るとは思わなかった。
とにかく、ずっと繊維を触っている。
若い頃に働いていたマリークヮントでもアパレルを扱っていたけれど、コスメが中心だったので、手荒れをしたことはなかった。
スキンケア用品も常に触っていたので、仕事をしながら手を保湿していたようなものだった。
それが、服を扱う仕事ではまったく違った。
アパレルは、納品された商品を段ボールから出す。
畳む。
ハンガーにかける。
ラックから取る。
戻す。
在庫を確認する。
フィッティングから戻ってきた服を整える。
そして、また畳む。
1日のかなりの時間、手が繊維に触れている。
綿、麻、ウール、起毛素材、化繊、ダウン……。
段ボールを扱うことと、ウール素材は、手の水分をかなり奪っていくように感じた。
服を見る視点だけでなく、感触まで素材を覚えていった。
最初は「ちょっと乾燥しやすい?」くらい。
それが3日も経つと、指先や関節が荒れてくる。
爪も割れる。
頻繁にハンドクリームを塗っていても、追いつかない。
しかも、商品に付着するのは避けたいため、タイミングも大事だった。
びっくりした。
そこで、自衛のためにしばらくお休みしていたネイルサロンに通うことにした。
これは大正解。
酷使される指先が傷まない。

指先から春、という演出もできた。
靴や手が傷んでいる販売員なんて、情けないでしょ。
華やかな売場の裏側に、手の皮膚というものすごく地味な現実があった。
2026-09-03 by
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